flooks_5 楽式論


contact_support楽式論ってなに?

楽式論というのは、その名の通り「楽式」についてのエクリチュールなのですが、楽式というのは何でしょうか?

 楽式は「楽曲の形式」を省略した形で生まれた言葉です。具体例を見てみましょう!
Intro1A1B1C1D2A2B2C2D3C4COutro

これはJ-POPの定番の楽式で、イントロから始まり、1番のAメロ(1A)~Bメロ(1B)~サビ(1C)~間奏(1D)と進むことを表しています。間奏(1D)の後には2番が1番と同じように続き、落ちサビとも呼ばれる静かなサビ(3C)を経て、大サビ(4C)でクライマックスを迎え、アウトロで曲を終えるという流れです。

 よくあるやつだな
 大体こんな感じの構成よね
1A1B1C1D2A2B2C2D3C4COutro

中には↑のようにイントロがなく、突然Aメロやサビから始まる曲があったり、

Intro1A1B1C1D2A2B2C3COutro

こんなふう↑に間奏がなかったり、落ちサビがなかったりすることもありますが、

いずれにせよ似た要素を持つブロックを対応させて、形式化することができます。
このような楽曲の形式のことを「楽式」といいます。

一部形式、二部形式、三部形式

上で見たのはJ-POP(いわゆるウタモノ)の楽式ですが、クラシックのピアノ曲やオーケストラ曲でも、同様の考え方ができます。理屈はシンプルで、Aメロ~Bメロ~サビのように3つのパーツがあれば「三部形式」、2つしかなければ「ニ部形式」、1つだけなら「一部形式」といった具合です。このパーツのことは「楽節」と呼びます。

 なんだ~思ったより単純でよかったにゃ~♪

複合二部形式、複合三部形式

上で紹介した二部形式や三部形式を1つの楽節のように見立てて、それぞれを1要素として作られる二部形式を「複合二部形式」、三部形式を「複合三部形式」といいます。

たとえば冒頭のJ-POP定番の楽式を例に挙げるなら、1番を全部まとめて「A」、2番を全部まとめて「A’」と考えることもできますよね。それはAとA’の楽節から成る「二部形式」と言えますが、中身を深く見てみると中には「A-B-C」という楽式が入っていた、なので「複合」というわけです。

1A1B1C2A2B2C
「A」(1番 1A-1B-1C) と「A’」(2番 2A-2B-2C) の複合二部形式

ちなみに2番を「B」とせず「A’」としたのは、中身が1番とほとんど同じだからです。ウタモノではなくクラシック曲(その場合もちろん1番、2番とは呼びませんが)には、「A」「B」あるいは「A」「B」「C」という曲もたくさんあります。

 イントロや間奏をオマケと考えれば、J-POPは複合形式って言えますも

その他の楽式

以下はクラシック音楽で使用される主要な楽式です。いずれも、これまでに挙げた楽式を基本としています。

・ロンド形式:A-B-A-C-A-D-Aのように、同楽節が他楽節を挟んで繰り返される
・リトルネロ形式:ロンド形式の「最初と最後以外は主調以外の調になる」バージョン
・ソナタ形式:三部形式の一種とも考えられる、独特の構成を持つ重要な楽式
・フーガ形式:各声部がひとつのテーマを変形させながら次々に登場する楽式

ソナタやフーガは、それぞれにひとつの記事が書けるくらいボリュームのある楽式です。また、舞曲や組曲、バリエーションとも呼ばれる変奏曲など、個性的なものも数多くあります。


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楽式論のレッスン

最終的には自分のオリジナル楽式を考えることで、一定の規則性を持たせながらもインパクトのある楽曲を生み出せるようになるのが楽式論を学ぶ魅力のひとつです。まずは基本的な楽式から作編曲を始めて、少しずつ複雑な楽式にチャレンジしていきます。