looks_two 和声法


contact_support和声法ってなに?

「和声」(わせい)って言葉、聞いたことありますか?
「和音」(わおん)に似ているけど、どこが違うんでしょう?
そして、和声法というのはどんなもので、なんの役に立つんでしょうか。

 そんな疑問に答えていきます!

和音と和声

まず「和音」というのは、”同時に複数の音が鳴っている状態” のことです。2音以上鳴っていれば複数になるので、いくらでも考えられそうですね。

たとえば、次のようなものです。

 色んな和音があるけど、ただそれぞれがある、って感じよね

ひとつひとつ独立している「和音」ですが、ある和音の響きが耳に残っているうちに別の和音が鳴ると、その2つに関係性が生まれます。

それこそが「和声」で、単音がいくつも続くと「旋律」が生まれるのに似ています。

 単音があつまるとメロディーに、和音があつまるとハーモニーになるにゃ~

音楽の世界では、リズム、メロディー、ハーモニーの3つが「音楽の三要素」と呼ばれていて、日頃耳にするほとんどの音楽はこの3つの要素でできています。「和声」は、このうちの「ハーモニー」を日本語に訳したものなんです。そして、よく耳にする「コード」というのは「和音」のことです。

英語日本語
rhythm(リズム)律動(りつどう)
melody(メロディ)旋律(せんりつ)
harmony(ハーモニー)和声(わせい)
chord(コード)和音(わおん)

「律動」なんて言葉、聞いたことないですよね・・。「和声」も馴染みがないかも知れませんが、「ハーモニー」なら身近に感じませんか?

「ハモり」の"ハモ"は、「ハーモニー」の"ハモ"です!

また、和音は単体でも「明るい」「悲しい」「怖い」といった具合に、それぞれ特徴を持っています。これが集まって和声になると、その特徴を残しつつも、それぞれに役割が生まれます。

この役割は「音度」呼ばれ、全部で7種類の音度があります(「キャラ和声」のページでも紹介しています)。同じ和音でも、音度が違うとどのように聴こえ方が変わるのかを確かめてみましょう。

上の譜例の一番最後の和音は、特に変わったところもなく、普通に曲が終わったような印象を受けます。続いて、下の譜例はどうでしょうか。

 なんかどっかで聴いたことあるわね・・

先の譜例の最後の和音と全く同じ和音が、後の譜例の5小節目に出てきました。でも、両者はずいぶん雰囲気が違うように感じませんか?さっきの和音は曲が終わったような印象なのに、こっちの和音は曲が続きそうな印象です。

この違いは直前の和音との関係、つまり和音進行が異なるために生まれています。2つ以上の和音が連続することで和声が生まれ、単体ではとくに意味を持たなかった和音が、「続く感じ」や「終わる感じ」のような役割を果たすようになったんです。

和声法では、和音の下にローマ数字でその役割を(つまり音度を)書きます。該当の和音を見てみると、上の譜例では「Ⅰ」、下の譜例では「○Ⅵ」となっていますね。もしこれが同じなら役割も同じなので、似たような聴こえ方をするというわけです。

 てことは、同じ和音でも調が違うと音度は変わっちゃうんだにゃ~

こうした和声の扱い方を具体的なテクニックとして落とし込んだものが「和声法」で、学問として研究対象にしたものは「和声学」と呼ばれます。皆さんにとって役立つのはテクニックである和声法ということになりますが、和声法を学ぶとどんな事ができるようになるのか、ある学園のストーリーを通して見てみましょう。

⇒ ハモーズ学園:試演会編

和声法の真骨頂

和声法には、上で挙げた和音進行ともうひとつ、声部連結というメインテーマがあります。

よく耳にする「コード進行」というワードは、和声法でいうこの「和音進行」とほぼ同じものを指しています。コードの心得があるチャーモの編曲は、和音進行が単調にならないよう工夫されていたものの、声部連結についてはほとんど考えられていませんでした。

 声部なんて考えたこともなかったぜ…
 ギターだと一人で和音が弾けちゃうからですも

和声法は兄貴分である対位法の「個々の声部(パート)の動き方に注目する」という性格を色濃く受け継いでいます。そのため、コード理論とは異なり、各和音の構成音同士のつなぎ方や配置の組み合わせを重視するという特徴があります。

ピアノやギターのように単独で和音を奏でられる楽器もある一方で、歌や管楽器、弦楽器などは、基本的に単音しか出すことができません。こういった楽器で和音を鳴らすには、合唱や合奏という形でメンバーが和音の構成音をひとつずつ担当し、全体で協力して和音を作ることになります。

sentiment_very_dissatisfied なんか音が足りない? 誰が何を吹けばいいの?

各パートの演奏すべき最適な音を、まるでパズルのように組み立てていくのが和声法のもっとも面白いところです。声部連結が本領を発揮するのは「単一パートの集合体」でできているアンサンブルのような音楽ですが、和音進行に関する知識はピアノやギターのようなコード楽器にも役立つ場面が多くあります。どんな楽器でも(歌でも)音楽は和音進行や機能の影響を受けながら進んでいくので、楽曲を理解する上で大きな助けになってくれます。


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和声法のレッスン

総合和声―実技・分析・原理
島岡 譲/尾高 惇忠/佐藤 真/野田 暉行/川井 学 共著
ÉCRIFÈGEの和声法のレッスンでは、こちらのレモン色の教科書を使っています。
和声法の学習というと、日本では全Ⅲ巻の芸大和声が有名ですが、専門的に取り組む方以外は総合和声の方が効率的に学ぶことができます。


※第Ⅰ巻が赤いことから「赤本」とも呼ばれる芸大和声の3冊

もし少しでも面白そうだと感じたら、和声法を学んでみませんか?
これからの曲作りに、演奏に、大いに役立つこと間違いなしです!