ハモーズ学園物語①:管楽器を吹くひと「キャモ」編

知る人ぞ知る音楽学校『ハモーズ学園』のある日のこと。吹奏楽部員のキャモは、サックスパートの友達から「月」の曲の4重奏譜を探してもらえないかと頼まれました。ところが、この曲のサックスカルテットの楽譜は、どこを探しても売っていません。そこで、いつも一緒のクラスメイトたちに相談することにしました。

「・・・ってなわけなんだけど、どうしたらいいかしら?」

「自分でアレンジすりゃいいじゃねーか」

「アタシ自信ないわよ、アンタやってよ」

「なんでオレが!お前が頼まれたんだろ!」

「まぁまぁ・・それなら、みんなで編曲してみるのはどう?」

「じゃあ、それぞれ好きに作ってみるか!」

「試しに演奏してもらって、一番イケてるやつを採用ね!」

「ふぁ~」

こうして、4人それぞれが編曲をすることになりました。


ウサガルーの キャモ は、フルートが得意なギャル。
「アタシはリズミカルなアレンジにするわ♪」

リスネズミの チャーモ は、ギターが弾けるバンドマン。
「オレ、コード進行とかわかるんだぜ!」

ネコライオンの ニアモ は、ピアノを習っているおぼっちゃま。
「ぼく、簡単な伴奏ならつけられるかも?」

アヒルイヌの スワモ は、好奇心旺盛な音楽っ子。
「編曲にはちょっと自信ありますも」


そして数日後、みんなが編曲した楽譜を試演する日がやってきました。


最初は、キャモ の編曲です。

 うさぎが跳ねているような雰囲気で楽しそうですね。
ただ、同じ音ばかりが何度も出てくるので、ちょっと単調に聞こえます。

次は、チャーモ の編曲です。

 さすが、コードを知っているだけあって様々な和音が使われています。
でも、キャモとは別の物足りなさを感じませんか?
使われている和音の種類は多いものの、ほとんど伸ばしっぱなしの音が原因のようです。

続いて、ニアモ の編曲です。

 ピアノの経験が生かされたバランスの良いアレンジになっていますね。
ですが、せっかくサックスで演奏するのにメロディ以外が伴奏のようになってしまったのは残念です。
4つのパートがみんな活躍できるように、もう一工夫できると良いんですが・・・

最後は、スワモ の編曲です。


最後の編曲を演奏し終えると、みんなが口々に言いました。

「すごいじゃない、スワモ!」
「プロの作曲家みたいだな!」
「どうしてこんな編曲ができたの?」

その通り、彼の編曲はそれぞれのパートが独自のメロディを奏でながらも、全体で色彩豊かなハーモニーを作り出すものでした。

スワモは少し照れながら、得意気に答えました。
「それはね、和声法を勉強したことがあるからですも」

 

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